電気設備
医療施設において電気設備は重要なファクターです。診療科目によっては医療機器を多く導入する場合もあるので電気容量の確保は最重要課題となります。
【電気設計】
クリニックの平面プランが固まり次第、電気設計も同時に行っていきますが、医療機器用のコンセントについては単独回線(一つのコンセントに一つのブレーカー)が必要なものも数多く出てきます。導入医療機器の選定が決まっていない場合には診療科目別にそれらを想定して電気の設計を行います。電気設計では医療機器・エアコン・照明器具・スイッチコンセント・弱電設備(LANや電話配線)など各項目別に図面を作成します。
これが曖昧のままスタートすると後で必ずトラブルとなるので注意しなければなりません。
またクリニックでは大きな分電盤(ブレーカーがいくつも付いている盤)を設置する必要があるので設計段階から検討が必要です。
【エアコン電源】
クリニック用のエアコンは家庭用の100Vで動かすものもありますが、大体が業務用を導入します。これは出力パワーの違いや耐久性があるからです。業務用エアコンでは通常動力電源を使用します。
【照明計画】
どこにどのような照明器具を設置するかも事前に決めておかなければなりません。
一昔前のクリニックでは電気がつけばよいという感覚でしたが、最近ではいかに良い雰囲気を演出できるかも重要です。通常待合室や廊下はダウンライトという丸い埋込型の器具を使う場合が多く、またアクセントとして吊り下げ型のペンダントライトや小型シャンデリアライトを設置しても面白いでしょう。上記のダウンライトで気をつけたい部分は、白熱球でなく蛍光灯を選ぶことです。白熱球は安価ではありますが球が切れやすいので交換頻度が増えるからです。
その他の部屋(診察・処置・スタッフルームなど)についてはこだわりがなければ一般的な蛍光灯でも問題はありません。しかし光量が必要な場合には大型もしくは大光量タイプを使用します。
【スイッチコンセント】
スイッチは各部屋に取り付けるのが一般的ですが、場合によっては3路スイッチ(2ヶ所で入切できる)を設ける場合もあります。また待合・受付・廊下・看板などはできるだけ受付近くで1ヶ所にまとめると便利です。この場合、スイッチの数が多くなるのでなるべく患者様から見えない場所を選ぶとよいでしょう。ただし最後に帰るときに暗い中を歩くのは危ないので出入口や裏口近辺に最後のスイッチを設けることも状況によっては必要です。
コンセントについては医療機器との絡みもあるので医療機器業者も含めて検討が必要です。また医療機器によっては専用電源が必要になるケースも多いので注意しましょう。(将来導入予定の機器があればそれらも想定で事前に用意しておく)
医療機器用だけでなく、流し台・手洗器用の自動水栓や電気温水器にもコンセントは必要になります。それ以外にも掃除機用や後から増えそうなものを想定してコンセントの予備も考えておくとよいでしょう。
【LAN・電話】
LAN配線に関してはインターネット用は当然であるが、電子カルテや医療機器にも必要になるので事前によく打ち合せることが重要です。LANケーブルを集約させる場所には分電盤を設けるがサイズが大きいので設計の段階でどこに設置するかも検討しましょう。
また開業当初は紙カルテでも将来電子カルテにしても問題ないように考えておくべきです。後から施工となると比較的高額な工事になるのと工期がかかります。
電話に関しても一般的な電話で対応するのかビジネスホンを導入するかで事前に配管ルートの確保が必要なので、工事初期までには決めておきましょう。
【電気容量】
設置する医療機器によっては電気容量が足りない場合も出てきます。テナント工事の場合には大家さん了解のもと幹線の引き換え工事等が発生し、金額もかかるので契約前の検証が重要です。導入予定の機器リストなどをもとに設計士と事前に現場検証を行っておくとよいでしょう。
【非常用照明】
大きな区画をクリニック用に細かく間仕切を立てる場合に各部屋に非常用照明を取り付ける必要が出てきます。これも1ヶ所二万円程度するので、概算見積もり時に含まれているかを確認しましょう。