MRIの導入

MRI(Magnetic Resonance Imaging : 核磁気共鳴撮像法)は、磁気を利用して体内の臓器を撮像する装置です。
エックス線CTや単純エックス線撮影のようにエックス線を使用しないため、放射線による被曝がなく、身体への負担が少なく、また、縦や横など身体をあらゆる角度から撮影することが可能です。
地球が磁気を発していることは良く知られていますが、その強さは0.3~0.7ガウスと小さなものです。それに対して、MRIで使用されている磁気の強さは、数百ガウス~1.5テスラ(1万5000ガウス・1万ガウス=1.0テスラ)まで様々ですが、0.5テスラ程度のものは低磁場装置、1.0テスラ程度のものは中磁場装置、1.5テスラ程度のものは高磁場装置と呼ばれていて、磁場の強度が高くなるほど高性能の解析が可能になります。

【MRI(核磁気共鳴撮像法)の仕組み】
なぜ、磁気によって身体の断面が画像化できるのでしょうか。人間の身体には、水などを構成している水素原子が存在していますが、この水素は磁気を当てると、反応(共鳴)して信号を発生する(核磁気共鳴現象)という特徴を持っています。
MRIでは、この性質を利用して身体に磁気を当て、体内の水素の原子核から発せられる信号を読み取ります。
臓器や部位によって含まれる水素の量(水分の量)が違うため、コンピュータでその違いを解析し臓器を画像化するのです。

【MRI(核磁気共鳴撮像法)検査でわかる病気】
MRIの利点は、任意の角度で身体の断面画像が得られることです。
そのため、身体の内部の状態、臓器の形状や病変部位などを精密に検査することができます。

とくに、頭部を調べたいときは、ほぼ必ずと言って良いほどMRIが用いられています。
頭痛、めまい、難聴、眼球運動の障害、認知症、てんかんなどの症状がある場合には、MRIで検査する必要があります。
なお、脳梗塞ではX線CTに比べて、超早期の診断が可能です。

MRI

MRI(核磁気共鳴撮像法)検査でわかる病気
【頭部】
脳血管性障害 : 脳梗塞・脳出血・モヤモヤ病・血管腫・脳動静脈奇形・ウォ-ラー変性・解離性動脈瘤・くも膜下出血 など
そのほかの頭部の病気 : 脳腫瘍・ヘモクロマトーシス・尿崩症・リンパ球性下垂体炎・顔面けいれん・三叉神経痛・頭部外傷 など
【頭~首】
聴神経 : 聴神経腫瘍などの腫瘍性疾患
目 : 眼球や眼窩内の疾患
その他 : 鼻・副鼻腔の病気・咽頭・喉頭・口腔などの病気・唾液腺の腫瘍 など
【胸部】
循環器系 : 大動脈瘤・大動脈剥離など
肺 : 肺がん・縦隔腫瘍・胸膜病変・結核腫など
【腹部】
胆のう・肝臓・膵臓 : 肝がんなどの肝疾患・胆のうがん・胆のう結石・総胆管結石・膵がん・のう胞性腫瘍・ラ氏島腫瘍・膵炎 など
腎臓 : 腎のう胞・腎がん・腎血管筋脂肪腫・腎盂がん など
その他 : 腹部大動脈瘤・臓器の大きさや形態の異常 など
【骨盤部】
膀胱がんなどの膀胱の疾患・子宮筋腫・子宮がん など
【脊椎】
椎間板ヘルニア・椎体骨折・脊椎脊髄腫瘍 など
【手足】
骨折 など

MRIは、非常に高価な医療機器です。導入には機器だけでなくMRIを入れるための部屋の工事も必要になります。というのは、MRIは、非常に重量が重いので、頑丈な床が必要となり、また磁器が外部にもれないような天井壁の遮断性の高さが要求されるからです。

導入したからには、その特徴を積極的に患者様にアピールし、より多くの検査を行ってその結果を患者様にわかりやすく説明することが重要です。MRIで検査をして難しい病気を発見し、適切な医療機関を紹介すればそれは医院にとって大きな信頼につながります。MRIのような検査機器を導入する場合には、その導入コストだけでなく、保守管理に要する費用、何件の検査を行えばペイするかの損益分岐点、機器を積極的に活用するための広報活動が重要です。
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